2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年、私を殺しかけた本たちの記録

「今年、どんな本読んだっけな?」と考えると、一年の長さに気付かされる。 私の記憶に強く残っている本には二種類ある。読んでいて止まらなくなり、寝る間も惜しんで読んだ本。一方、対照的にあまりの言葉の強さに心が壊れそうになって投げ出した本。 後者…

「s.t.」――佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』第一夜前半

本屋は嫌いではない。 よく行くところではあるけれど、好きなところ、というわけではない。なにか欲しい本がある時はいい。 「著者は△△、タイトルは○○で、××の出版社から出てて・・・」 そこまで限定されてなくても、なんらかの情報探索の指向性があるときは…

「私は生きているだろうか」(2008/12/20の日記から)

(2008/12/20の日記から)最近、また、時々苛々が止まらなくなった。 お陰で、部屋のドアに穴が開いた。オシャレに隠したけど。 「なぜ、苛々するのか。」 理由はない。苛々するから苛々する。 いつも、苛々してから、理由をさがしている。 そう考えると、理…

自由の重苦しさについて

自由って重苦しいだけじゃない? 選択肢が増えれば増えるほどどうしていいかわかんなくて、結局無難な道を選んでる。選択肢が増えた、多様な未来を描く可能性に開かれた、制約の少ない社会になった…「君たちは無限の可能性に開かれている」これは確かにその…

「寂しがりの一人好き」の、ストレス性頭痛について

頭痛がする。(…って本当によく言ってる気がする) 拍動性のヤツと、ずしーっと重いヤツが共存しているから質が悪い。 村上春樹ならきっとこの頭痛をもの凄く的確に書いてくれるに違いない。 彼の頭痛に関する表現は、綴じて纏めておきたい位、的確すぎる。…

嘘を信じることの価値 ― 人間関係の終わり、別れ、絶望に関して

■「人間関係の終わり」ってものはいつなんだろうと考えていた。人間関係の終わりは、相手の死ではない、とは思う。 死の瞬間から、喪の作業が始まる。 もう手に触れることはできないけれど、死の瞬間から相手は初めて自分の中で確実性を伴って生きはじめる。…

愛するものの喪失という悲哀

失恋であったり、 死別であったり、 自分の持てる愛情を向け続けたものを失うこととは。 とか、このところ考えていたところに、サン=テグジュペリ『夜間飛行』に、 考えさせる一節があったので、引用してみようと思う。 パイロットであるフェビアンの死の報…

車椅子の女性をみて――依存に関して

夜道を谷保駅から歩いて帰っていた。谷保駅のあたりには3年間ほど暮らしていたので、あちこちに記憶が染み込んでいる。 見る景色ひとつひとつがよすがとなって、記憶の色彩が胸に甦っては消えていった。輪郭はもうぼやけてしまっていたけれど、甦る鮮やかな…

「ここまでが私だ」とはっきりと境界線を引けるひとはどれだけいるだろうか。 たとえば、喪失感。 大切な居場所だったり、大切なひとだったり。なにかを失うということはただ、そこへと向かっていた気持ちが行き場をなくす、それだけの事態なのだろうか。あ…

「喪の作業」――デリダの言葉から考えたこと

「喪の作業」これについて書くのは何度目だろう。 それだけ喪うものが多い人生だったのか?「彼は我々に、涙を流してはいけないなどと教え込んだりはしない。彼が我々に思い起こさせてくれるのは、涙を味わってはならないということだ。」『涙を味わってはな…

わがままな愛

(2009年08月12日08:15のmixi日記から転載)この夏学期、副ゼミで愛について研究してました。 なんだかケリがついた気がするので日記に記そうと思うのです。◆ 愛にとってなくてはならないものは、わがままに甘えて、欲しい!!って思うことです。「あなた」…

内面の空虚、意識の希薄、精神の貧困および孤独について

Arthur Schopenhauer APHORISMEN ZUR LEBENSWEISHEIT 邦訳:『幸福について―人生論―』(橋本文夫訳)(p.106迄)を基に◇はじめに 私は幸福だとかよき生活を送る智恵が欲しくて本書を読んでいるわけではない。私が第一に興味があるのは孤独感といわれるもので…

愛について

1. 問題提起 家族や恋愛関係においてみられる「俺の女」だとか「私の坊や」といった言葉には言外に独占欲、排他性の意味が色濃く滲み出てきている。これら所有の要素が持ち込まれることはどのような問題を引き起こすのか。自由と平等という二つ理念を主軸と…

「もう嫌だ!」から始まる物語

「もう嫌だ!」から始まる物語があってもいいと思うんだ。 その、もう嫌だという気持ちが深ければ深いほど、 なぜ嫌なのか、ということを突き詰め、考え抜く能力さえあれば、 マイナスからゼロへ、そしてゼロからプラスへと、物語は紡がれると思うんだ。 憧…

靖国参拝から始まる一年

あけましておめでとうございます。元旦に友達二人と靖国に参拝しました。祈願っていうか「私も頑張ります!」的な宣誓になってしまった。だってさ、大きなものがあったほうが頑張れるじゃんか。守ってもらえてるから、帰る場所があるから、走り出せるんじゃ…