2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

東浩紀(2019)「東浩紀がいま考えていることーー『テーマパーク化する地球』刊行記念」

東浩紀の発言のうち、気になったものを私の主観でまとめた形を載せる。 「哲学は概念の発明だ」 by ドゥルーズ・ガタリ引用と参考文献の世界ではなにも言えない。発明なんてできない。デモに行くときは発明なんていらない。発明の場所はなくなってしまった。…

千葉雅也(2018)「意味がない無意味――あるいは自明性の過剰」(『意味がない無意味』所収)

考えすぎる人は何もできない。頭を空っぽにしなければ、行為できない。(35) 本論の中心的な命題だ。千葉は続ける。 考えすぎるというのは、無限の多義性に溺れるということだ。ものごとを多面的に考えるほど、我々は行為に躊躇するだろう。多義性は、行為…

浜田明範(2018)「アクターネットワーク理論」(『21世紀の文化人類学』所収)

前々回、スマホを持たないときに不安を感じるのだとしたら、スマホによって私達の身体は変容しはじめているという話を載せた。《モノ》は「人間による働きかけや意味づけを待っているだけの受動的な存在ではなく、人間の行為や認識を方向づける力を持ちうる…

アート系トーク番組 art air(2017)「ブルーノ・ラトゥール 人類学を震源とした新たな動き 人類学の存在論的転回」

youtu.be この動画を見ながら科学人類学者であるブルーノ・ラトゥールのアクターネットワークセオリー(ANT)について学んだので、少しメモを残したい。 『法が作られているとき』では、フランスの行政裁判所でどのように法(フランス行政法)が解釈され作ら…

山崎吾郎(2019)「技術と環境 人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか」(『文化人類学的の思考法』所収)

私達の《あたりまえ》を揺るがすような印象的だった一節から書き始めたい。 自然と不自然、本物と偽物のあいだには、ちょうど、眼鏡とサイボーグのあいだにあるのと同じ差異が感じとられている(30) 技術は人間や自然の本性を変化させると考えられている。…

千葉雅也・二村ヒトシ・柴田英里(2018)『欲望会議 「超」ポリコレ宣言』

本書は哲学者の千葉雅也とAV監督の二村ヒトシ、現代彫刻家でフェミニストの柴田英里による性的欲望の問題を中心とした結構過激な鼎談だ。はやく読みたすぎて発売日の深夜にKindle版を購入して読んだ。なので、引用の括弧内はページではなくKindleの位置ナン…

Star & Griesemer (1989) “ Institutional Ecology, 'Translations' and Boundary Objects: Amateurs and Professionals in Berkeley's Museum of Vertebrate Zoology, 1907-39”

私の博論の中で最も重要な論文の感想を書きたい。異なる関心を持つ人々がどのようにしたら協働できるようになるのか、というテーマの論文だけれども、Abstractを読んでみると協働のうちでも特定のものに焦点が当たっていることがわかる。 Scientific work is…

土居健郎(1971)『「甘え」の構造』

「甘え」とは何か。まずはその定義から確認したい。 「甘え」は親しい二者関係を前提にするとのべた。一方が相手は自分に対し好意を持っていることがわかっていて、それにふさわしく振舞うことが「甘える」ことなのである。(3,4) 土居はこの「甘え」という…