2011-01-01から1年間の記事一覧

寄付についての覚書―共感・愛・理性・尊重

「なぜ寄付をするのか」という問いについて、共感というキーワードが頻出する。 しかし、共感というものは長続きしない。そもそも、共感とは共に苦しむことであり、その状態を回避したいと思うのが一般的だろう。共感的なコミュニティは長続きしない。第一に…

「愛」「愛する者」とは――情報社会論からの解釈

アドルノの警句を紹介したい。 愛されているといえるのは、君が弱さを示しても、相手を挑発してつけ込まれることがない、そういう場合だけである。 ここで言われる「弱さ」とはなんだろうか。これが苦悩のことであれば、愛とは、傷を舐めあい、苦悩を伝染的…

Not T.I.N.A. but T.I.A. (There Is Alternative.) ―資本主義のひとつの過程としての"社会起業"ムーブメント

(この文章は2011/10/23に井上英之『ソーシャルファイナンス』の第四回課題のために書かれたものの前半部分である。) 90年代後半からの"社会起業"ムーブメントの背景には、ITバブルの存在があった。ITベンチャーの成功者たちが、その資産、ITスキルや経営ノ…

"Do I Love You?" という奇妙な問いかけについて

恋人に、「私のこと、愛してる?」と尋ねたときよりも、「私は、あなたのこと、愛してる?」と尋ねたときのほうが得られる安心が大きいように感じる。 どちらの質問も、愛し合っている、二人の関係が強く拘束されているという現状の確認である。しかし、このふ…

「死にたい」という言葉が生まれる場所―往き来する過去・現在・未来

諸々の出来事の記憶があまりに複雑で、紐解くことのできない塊のようになっている。コンプレクス(心的複雑性)だ。この塊は土葬されていて、いまも過去という心の地中にどっかりと居座っている。 過去・現在・未来の表象を植物に喩えてみた。植物のアナロジ…

自分を無価値だと思うことは、自分の価値を守るための方便だ。

自分を無価値だと思うことは、自分の価値を守るための方便だ。 なぜ、自分を無価値だと思うようになるのか。理想と現実という対立から考えてみたい。理想とは、これまでに自我が応えられなかった要求の相続人である。フロイトはこれを「理想自我」と呼んだ*1…

地図の記憶

2008年4月から、行動記録を手帳につけている。現在4冊目だ。行った場所・時間、その時一緒にいたひとが細かい時で記録されている。 これを地図上にプロットしたら、少しは気が楽になるのではないか。色が濃くなっている場所には、それだけの過去が積み重なっ…

「日常を変えたい」という贅沢な不満

「日常を変えたい」なんて不満をこぼす。なんて贅沢な話だろうか。頭痛がひどくて寝込んでいた。 夜になるにつれ、徐々に快復して、この時間が一番楽である。日内変動だ。 翌朝また、絶望的な気分にさせる頭痛と共に布団から出られないのではと考えると眠る…

「将来のことなんて考えたくない」は克服できるか

将来のことなんて考えたくない―。 しかし、将来のビジョンとは、過去の寄せ集めにすぎない。 つまり、これまでに生きてきた世界の因果構造のマップに頼ってしか、未来の青地図を書くことはできないということだ。一般に、想像力とは、現実世界の因果構造に支…

過去とのつながりを保つことに必死だった

お盆休みを利用して大阪からきた後輩が、東京観光に連れて行ってくださいと言う。 「関西のひとは東京のことを嫌いだと思っている」と思っている僕は、その原因の1つにひとがごみごみしすぎていることがあると思っている。 そこで、あまり人ごみでない東京っ…

a narrow path

限界づけられている。 将来を語るには、あまりに限界づけられている。 探し出す可能性は隘路。 悪路の隘路に可能性をみなければならない。I am under many restrictions. I am so strained that I cannot talk about my future. The possibility I sought is…

Brotherhood

アイツがどこかで泣いていると聞いた。 なにもできずにいる自分に臍を噛んだ。 男友達とは、やせ我慢の強がりあいを基盤とする関係だ。 泣いているアイツの弱さに触れたとしても、どうすればいいのか分からない。 泣いているアイツの苦しみに触れたとしても…

「言葉にならない」とはなんだろうか

圧倒的な景観、心を揺るがす藝術に触れたとき、「言葉にならない」と、私たちは言う。 「言葉にならない」とはなんだろうか。 その景観や藝術を表現する言葉がない、と考えるのは誤りだ。 その考えは、すでに客観的に景観や藝術が存在して、それをわたしたち…

イノベーションの条件:「言いたいことがここまできてるんだけどうまく言葉にならない」

大学院が始まって、ひと月が経った。 毎日、忙しいのだけれど、なにか物足りなさを感じていた。与えられたテーマという型に、自分のこれまで蓄積したリソースをはめ込んでいるだけ、みたいな。 結局自分のリソースが増えてないんじゃないの、みたいな。まぁ…