隠し味と卓上調味料の一般理論――五味調和思想から

いまひとつ味がまとまらない、皿になにを添えて出せばいいのか分からない。

そういったときに隠し味と卓上調味料についての理論があると迷わずに済む。

ここでは中華料理で理想とされる五味調和思想を参考に隠し味と卓上調味料の攻略方法について考えたい。

五味調和とは五味(「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹」)を調和させることが皿の完成とみなす中華料理の思想だ(「」はかんと読み、塩気を現す))。この五味は五行説と密接に結びついている(詳細はこちら)。この五味はそれぞれ「火」「土」「金」「水」「木」と対応している(それぞれの要素の食材とその効用についてはこちらが詳しい)。

そして重要なのは五味の相互関係だ。まず、「水ポケモンは火ポケモンに強い」という関係は『相克の関係』と呼ばれる。対して、「水ポケモンは木ポケモンを癒やす」という関係は『相生の関係』と呼ばれる。

私は、『相克の関係』は卓上調味料に、『相生の関係』は隠し味にするとよいと考えている。

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五味調和の関係図

こちらが五味の関係図だ。

『相克の関係』は、例えば、唐揚げの卓上調味料のレモンを考えてほしい。これは油の「甘」をレモンの「酸」が相克している。

『相生の関係』は、例えば、カレーの隠し味のはちみつを考えてほしい。これはカレーの「辛」をはちみつの「甘」が相生している。

私はキッチンにこの図を貼って、味がいまひとつ決まらないときにこれを眺めて、なにを足せばいいのか考えている。最近は和食に煎茶の苦味を足すという方法を思いついた。先日、「炙り白菜と煎茶のつみれ汁」という料理を考えた。

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陰陽五行説ではが重要で、外丹術、内丹術、房中術など気の養い方が色々考えられている。また陰陽という要素もどう料理に取り入れられるのか。考えていきたい。