夜桜、雨桜

20時半過ぎ。
所用で都心から帰り、国立駅を出ると国立でも雨が降っていた。

雨に濡れた桜は綺麗だ。
快晴の下の桜はどうも心許ない……綺麗すぎて落ち着かないのだ。
あまりに神秘的な匂いを放ちすぎる昼の桜は、綺麗だとは思うが、心象として鮮やかには湧かないところが自分にはある。

やはり、少し病んだ心にはあれは刺激が強すぎるようだ。

だから、夜桜が好きだった。

夜という憂鬱に包まれた桜はどこか包容力を持って自分の心を迎えてくれる。

そして今日。
初めて、夜の雨桜をその時みた。

より濃い憂鬱。
夜と雨。

それは夜桜の美しさ――自分の心の憂鬱と重なる美しさ――を超えたものがあった。

確かに夜の雨桜も憂鬱な妖しさを放っている。
しかし、今日、自分の心に湧いた心象はそれだけではなかった。

夜、雨――それらの強い、強い憂鬱に包まれてもなお、美しく咲く桜に、その真摯な姿に、美しさを見たように思える。

雨が弱かったからか、時期が早かったからか、この夜にも、この雨にも、屈することなく、桜は咲いていた。――その花を散らすことなく。

――どんな憂鬱に心が包まれたとしても、この桜のように生きたい。

そう思った。

20歳最後の夜にして、この一年を総括するような景色と心象に出会えて幸せだった。

……と言うわけで、21歳になりました!

今年の目標は、
「あの桜のように、強く、自分の幸せのために生きたい。負けない。真摯に、謙虚に。」

と言った感じでしょうか。