とても単純だけど難しいこと

木曜に「祖母が余命2日」と言われて焦ってばたばたと地元の病院に駆けつけましたが、それから4日経った今日、祖母に「またね」と笑顔を交わして、今、東京へ向かっています。別れ際に祖母の見せてくれた笑顔は心の琴線を直に弾いたらしく、今、心が一杯です。

もう「またね」はきっとないのだと覚悟しています。しかし、今、後ろ髪を引かれる想いもなく、ある種すがすがしい想いを抱いて病院を起てたのは、祖母に伝えられる限りの自分の心を、祖母の心に十分に届けられたからなんだなと思っています。

誰かに心を開いてもらうには、誰かの心に届くように想いを伝えるには、どうすればよいのでしょうか。
僕はこの問いに対して、単純な、しかし難しい答えを持っています。
誰かと心を通わすための単純な手筈。
「相手に、自分の心を開いて見せる」
これだけだと思っています。自分の心を相手に見せる。すると自然と打ち解けられるわけです。言うのは簡単だし、原理も理解し難いわけではない。けれど、なかなか一筋縄にはいかないことだと思います。

「祖母になにか伝えられるのはもう最後なんだ」と心に留めながら過ごした4日間でしたので、きっとこの先祖母のことを思い出したときに、悲しみにくれるのではなく、暖かな記憶として振り返ることができるようにと、心残りだけはないようにしたかったのです。だから、そのためには、自分の想いをすべて、余すところなく、祖母の心に伝えたい。祖母の心を自分の想いで満たしたい。そう思っていました。きっとそれができたから、別れ際に祖母は笑顔を作ってくれ、その笑顔に心満たされているのだと思います。

「心からの想いを伝える」
これは、僕が大学で、応援部に出会っていなかったら持ち得なかった能力でしょう。
結局、なにが大切かと言うと、一般には、その誰かをどれだけ強く想うことが大切とかと思うかもしれませんが、「どれだけ自分の心に対して素直になれるか」だと思うのです。
気恥ずかしかったり、変に体面を気にしてしまい、自分の心が開けなかったり、伝えたいときにどうしたらよいかわからなくなってしまう。そうすると、きっと「こうしたかったのに!」と後悔が残る。誰にしろ経験のあることではないでしょうか。
そんな時に、勇気を持って、自分の心に素直になって、ありのままの心を誰かに見せられる。それができれば、きっとお互いの心は満たされて、幸せになれるのだと思います。

なんだか長くなってしまいましたが、この4日間、病室で、夜を徹しながら考えたことでした。
過去のすべてを「よし」と思えるように生きられるように、書き留めます。