世界の異常感
病気のせいだったんだろう。
この二ヶ月、不思議な感覚に陥ることがよくあった。
どうせ治ったことだし、忘れないように書きとどめておこうと思う。
と言うわけで必然的にぺしみしてぃっくです(笑)
例えば、今座っている机の、電気スタンド。
きっと一生掛かっても全て自力でこれを作り出せはしない。
例えば、今手に取った、一冊の本。
「カント入門」と題されているけれど、この印刷物を一から作ることはきっとできない。
例えば、その一冊の本の、一ページ。
この紙の作り方だって、僕は知らない。
なにも、文化の偉大さとか、先人の功績とかを讃えたいんじゃない。
この自分の生きてる世界への隔絶感、なにもできないことへの孤独感は、この二ヶ月になぜかよく感じた。
自転車で帰りながら考えることは「自分にはきっとこの自転車も、道路も、作り方は知らないし、知ることはできない。」
ってことだったし、なにを見ても、それについてなにも知らないことへの無力感だけがつきまとった。
こんなになにも知らないものに囲まれて、平然と生きている周りの人々は異常だと思った。
あまりに自分が無力すぎることが不安で不安で、不安で仕方なかった。
外に出たくなかった。なにもない部屋に籠もりたかった。
今思い出しても不思議な感覚だった。